馬主になるには日記

競走馬の税金と確定申告について税理士さんに聞いてみた

競走馬を買う前に節税と確定申告の準備を!

馬主デビューの昨年は馬を買うことに夢中で、税金については全然考えてもいなかったのですが、とうとう年貢の納め時がやってきました。そう、確定申告です!!

預託されている競走馬

競走馬と税金についてはネットに少しだけ情報が転がっているのですが、みなさん法人でやられていたり、中央の馬主さんだったり、事業規模に到達していたりとスケールが大きく、私のように個人で1頭だけ地方に新馬を持っている、という小規模オーナーの話が出てきません。

確定申告の締切まぎわに先輩馬主の皆様にあれこれ指導してもらうのも申し訳なく、思い切って競走馬のことがわかる税理士さんに相談することにしました!

府中市のきっかわ会計事務所へ

とはいえ馬のことがわかる税理士さんというのは極めてレアで、ネットでかなり探したのですが、ぶっちゃけ東京に何人いるのかというレベルです。

府中市のきっかわ会計事務所の吉川旭税理士は、独立前に中央の馬主さんの確定申告を請け負っていたそうで、馬の話が通じました。装蹄費の補助金に消費税がかかるのかどうか、というレベルの話までご存知でした。

府中市

というわけで個人の備忘録をかねて、吉川旭先生に相談してきた際の記録をまとめておきます!

※基本的に、事業規模ではない・デビューの前年に新馬で購入・地方競馬で使うという自分のケースに準拠しています。

まず始めに考えるのは消費税

新馬を購入して育成に入れると、初年度は少なくとも数百万~数千万の出費になると思います。そうすると、支払った消費税もバカにならない金額となります。

ですが消費税の課税事業者の届け出をすることで、この分の消費税を還付してもらうことができます。

課税事業者になれば馬代金+育成費用にかかわる消費税を還付してもらえる

これは課税事業者であれば、受け取った消費税と支払った消費税の差額を還付してもらうことができるからです。馬の話の場合、受け取った消費税というのは賞金に課税されている消費税ですね。

ざっくり例を挙げると、馬代金と育成費用の合計が300万で、競馬場から受け取った賞金が200万なら、支払った消費税が24万・受け取った消費税が16万となり、差額の8万円が戻るという仕組みです。

新馬を購入した年は賞金(受け取った消費税)がないので、支払った消費税がそのままドカンと戻ってくるようです。

消費税の課税事業者の届け出は、後からは出せません。残念ながら私は出すのを怠っていたので、数十万程度ですが損をしてしまいました。とほほ。

いまからでも課税事業者の届け出を出したほうがよい?

そして吉川先生に「今からでも課税事業者の届け出をしたほうがよいですか」と聞いたのですが、地方競馬の預託料を考えると節税額はそれほどでもないし、万が一馬がメチャクチャ走ったら逆効果なので、そこはオーナー判断になるとのことでした。

個人的には、一番おいしい初年度の還付を受け損ねているので、もう出さなくてもいいかなあ~と思いました。

確定申告における競走馬の減価償却と育成費用の計上について

次に気になったのが、確定申告時に馬代金や育成費用をどう処理すればいいかということです。

これはなんと、事業規模であってもそうでなくても、競走馬の減価償却は入厩時点からとなるため(減価償却の開始時期には別の基準もありますが、私のケースとは異なるため割愛します。これは国税局のホームページに詳細がありますのでご参照ください)、新馬購入の年度の確定申告では何もする必要はないとのことでした。

個人的には、事業規模でない場合は減価償却せずに馬代金と育成費用の合計額を支払った年度の確定申告で雑所得と一気にぶつける処理だと思っていたので、意外でした。

実務的にはどうするかというのも吉川先生に聞いたのですが、馬代金と育成費用の合計額を減価償却の開始時期から4年かけて償却していけばよく、イメージとしてはそれらの合計額を48分割して月割りで計上するようですが、正確にはちょっとややこしい計算が必要とのこと。

むかし勉強した定額法とか定率法の話でしょうか。この計算は個人でもやれなくはないですよ、とのことでしたので、これは先生に依頼するかどうか、また来年の確定申告前に検討することにしました。

事業規模ではないので損益通算はできない

そして気になるの損益通算の話ですが、やはりこれは下調べしていた通り、事業規模に到達していなければ給与所得・不動産所得などとの損益通算はできないとのことでした。

したがって私のような個人・新馬・一頭持ちのケースであれば、入厩時点までの馬代金と育成費用の合計額を入厩後した年度から減価償却して、預託料と収入の差額を足し引きして雑所得のみにぶつける、という処理となります。

競走馬で節税はできる!?

サラリーマンで給与所得のみの方など、これではほとんど節税効果はありませんが、私の場合はアフィリエイトや占いの仕事で雑所得がそこそこあるため、これを打ち消すことはできそうです。

同じような境遇の方であれば、馬で楽しみながら少々の節税も可能かと思います。とはいえ節税額よりも、全然多く損をするとは思うのですが…!

引退後の税務処理はどうする

保有馬が引退した場合の税務処理についても事業規模と個人で扱いが違うようですが、これはそうなってから改めて相談することにしました。

繁殖入りの有無、見舞金、減価償却と諸条件が入り組んでおり、ざっくりとした税務相談で回答していただくのは先生に申し訳ないと思ったためです。

一点、競走馬登録を抹消して養老牧場に入れた場合に預託料を経費計上できるかどうかはお伺いしたのですが、これは吉川先生でも処理したケースがないため、わからないとのことでした。

税務相談は税理士さんに!

確定申告を控えて暗い気持ちになっていたのですが、やはり本業の税理士さんです。疑問にテキパキと回答してもらえました。ありがたいです!

最後になりますが、個別の税務相談は税理士・公認会計士さん以外はできないはずですので、詳しくは吉川先生かご自身の税理士さんに相談してくださいね。

  • この記事を書いた人

田中(あらいちゅー)

2018年のサマーセールでサウスヴィグラスの牝馬を購入し、新馬→2走目と連勝し、1年間足踏みしたのち念願の3勝目を獲得。川崎と盛岡で共有馬主もしています。詳しい自己紹介は運営者情報からどうぞ。

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