馬主になるには日記

馬の骨瘤治療・ソエ焼きの効果とビフォーアフター写真

2019年8月22日

シトリンちゃんの骨瘤がほとんどなくなりました!

シトリンちゃんの骨瘤とソエがほぼ全快しました!

症状がなかなか軽快せず、なんだかんだで2ヶ月半くらい手こずったのですが、驚いたことに骨瘤のコブも、ソエ焼きの跡もほとんど見えなくなりました。終わってみると「大騒ぎするほどのことではなかったな」という感じです。

元気になったシトリンちゃん

新馬にソエはつきものとはいえ、「デビューが遅れるのでは」という不安がつきまとい、馬主的には心労と経済的負担がきつかったです。

また骨折などのわかりやすい疾病とは違い、治療法が「ソエ焼き」「ブリスター塗布」という伝統療法中心になり、本当にこれで治るんだろうかという疑問もありました。

そんなわけで、これから新馬を買うみなさんや、一口馬主をやっていて「ソエになりました」「骨瘤になりました」というレポートを貰って呆然としている競馬ファンのみなさんのために、ソエ・骨瘤とはどういうものかという解説、治療現場の実際、そして実際に治療した患部のビフォーアフター写真をお届けします!

骨瘤ってなに?

骨瘤とは、脚の骨が瘤のように盛り上がってしまう馬の疾病です。盛り上がった部分が腱や神経に触れてしまうことで、腱を痛めて競走能力に大きな影響が出たり、痛みが出たりすることになります。また骨瘤の部分が骨折を起こしてしまうことや、逆に骨折が原因で骨瘤になることもあるようです。

だいたいは治療を施せば軽快しますが、骨瘤の状態のまま脚が固まり、競走能力にも影響なければ痛みも訴えないというケースもあります。

つまり骨瘤といっても、原因も経過も症状もケースバイケースというわけですが、放置して重症化すると競走能力に悪影響を与えるというのは間違いないようです。

シトリンちゃんの場合は下記のページの通りの経緯で、ソエ(骨膜炎)が悪化して骨瘤となり、神経に触れて痛みを訴えるようになってしまったという経緯です。

幸い、骨瘤が腱にダメージを与える前に治療を始められたので、競走能力には影響ありませんでした!

※その後ソエから立ち直って、2019年11月に川崎競馬場で新馬勝ちしています。

ソエ・骨瘤と戦った記録写真!

というわけで、まずは患部の写真を見ていただきましょう。

シトリンちゃんの焼烙治療痕

こちらが発症して1ヶ月ほど経ったあたりで、撮影する少し前にブリスターとソエ焼きを行っています。右前脚に瘤があるのがわかります。あきらかにポコッと大きくなっていますね。

骨瘤のビフォー

写真がやや小さくて申し訳ないのですが、こちらが全快する2~3週間前です。まだまだ右前脚がポコッとなっています。

骨瘤のアフター

そして今週BTCで撮影してきた写真がこちら。ほとんど膨らみがなくなり、ソエ焼きの跡もよく見えないようになっています!

あれだけ手こずったのですが、治るとなると早いものでビックリです。実馬を見てくださった佐藤師も「もう大丈夫」と太鼓判でした。

そんなわけで、シトリンちゃんのソエ騒動ではいろんなことを学びました。ソエが悪化すると深管・骨瘤となること。さらに悪化すると腱にダメージを与える致命的な症状になりかねないこと。そして治ると見た目もスッキリすること。そして昔は骨瘤で脚がボコボコになりながら、だましだまし走っていた馬がたくさんいたこと…。

骨瘤とソエは、馬にかかわる上では避けて通れない疾病なんですね。

骨瘤とソエの治療法

ごくごく一般的な疾病ながらも、運が悪いと競走能力に影響しかねない骨瘤とソエ。現場ではどういった治療がされているのでしょうか。基本的には「ソエ焼き」「ブリスター塗布」「チルドレン投薬」の3種類となるようです。

ソエ焼き

ソエ焼きというのは、馬の脚に焼いた鉄棒のようなものを押し付けて、皮膚を人為的に小さく火傷させることです。医学的には根拠がないそうなのですが、現場では基本的にこの治療法が第一選択となっています。皮膚が治癒するついでに骨瘤とソエも治ってくれるから、という理屈のようです。

普通はソエ焼きをすると1ヶ月くらいで軽快するらしいのですが、シトリンちゃんの場合は旋回癖があるため足元がなかなか休まらず、症状が軽くなるまで時間がかかりました。旋回癖にはこういうデメリットもあるのかとびっくりしました。

ブリスター塗布療法

幹部にブリスターという薬剤を塗布する方法もあります。これは焼いた鉄棒ではなく薬を使って化学熱傷のようなものを作る方法で、ソエ焼きと原理は同じようです。医学的な根拠がないという点も同様です。

「チルドレン」という治療薬もある

また現在では「チルドレン」という薬剤を用いることもあるそうです。これは10年ほど前に登場した骨の再生と破壊サイクルをコントロールするという薬です。どういう原理なのかは説明が難しいので、詳しくは獣医師さんに質問するか、薬名で調べてみてください。シトリンちゃんの場合はソエ焼き・ブリスターと併用していました。

ソエ焼き否定派の人はほとんどいなかった

本当に効果があるのか、単なる動物虐待ではないのかとよく議論になるソエ焼き。現場でいろいろな人から意見を貰いましたが、みなソエ焼きには肯定的でした!

シトリンちゃん横顔

現場の皆さんの見解をまとめると「確かに可哀想だけど、実際にやったほうが早く治る。痛みを早く取ってやったほうが馬のため。昔からやってることにはやはり意味がある」という感じでした。

ソエは怖くないけどお金はかかる!

ソエや骨瘤はきちんと対処すれば怖いものではない、悪化することもあるけど時間をかければなんとかなる、と学びましたが、シトリンちゃんの場合は旋回癖もあって立て直しに時間がかかり、デビューまで3ヶ月くらいは余計にかかったような気がします。

育成費用も3ヶ月分が蒸発するので結構な痛手でしたが、今年は猛暑で都内がこの通りですので、早めに持って行っても夏負けするか、避暑で別の牧場に出すことになっていたかもしれません。

結果論ではあるのですが、むしろ秋までBTCでビッシリ鍛えることができてよかったなと思っています。馬主はトラブルで鍛えられて学ぶもの。もっともっと苦労していきます!?

  • この記事を書いた人

田中(あらいちゅー)

2018年のサマーセールでサウスヴィグラスの牝馬を購入し、新馬→2走目と連勝し、1年間足踏みしたのち念願の3勝目を獲得。川崎と盛岡で共有馬主もしています。詳しい自己紹介は運営者情報からどうぞ。

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